六本木の森アーツセンターギャラリーで、約500点もの原画やスケッチ、フィンランドで愛されてきた貴重なコレクターズアイテムなどが展示される、過去最大級のムーミンの展覧会が始まりました!
内山はこの展覧会の展示構成、図録編集・執筆を担当しました。
ムーミンというと、アニメーションを思い出す人、コミックスやキャラクターグッズを連想する人、さまざまいらっしゃると思いますが、フィンランドのアーティスト、トーベ・ヤンソンが手がけた9つの小説がムーミンの世界を核となるものです。
今回の展覧会は、その9冊の小説すべてから、原画とスケッチがやってきます。
緻密な線が美しい原画や、試行錯誤の跡が感じられるスケッチを間近で見られる貴重な機会です。
展覧会の会場演出と、図録の装丁は、大島依提亜さんにお願いしました。
日本で昔から愛されている、親しみやすくてかわいいムーミンも素敵だけど、
「フィンランドの美しい海、島、自然から生まれてきた、フィンランドのムーミン」を伝えたい、そんな意図を汲んでくださり、光や影、音楽を取り入れた素晴らしい会場演出をしてくださいました。
私たちkukkameriは、2014年のトーベ・ヤンソン生誕100年の年に、彼女が夏の間暮らした島に滞在するという機会をいただきました。
島に滞在しているとき、月明かりに照らされる暗い海や、入江にそっとやってくる美しい白鳥、愛らしいガンの仲良し親子などを見る度に、ムーミンに描かれた美しい自然描写や神秘的な生きもの、チャーミングなキャラクターの表情などを思い起こしました。
「ムーミン」には芸術家トーベ・ヤンソンの生き方、人生、愛したもの、すべてが反映されているんだ、と深く感じ入ったことを覚えています。
楽しくてかわいいだけではない、誰かを失うさみしさも、得体のしれない恐怖も、一人でいる孤独と自由も、手放すことができない執着も、ひたむきで大きな愛情も、人と人との関わりのぬくもりも、
すべてが描かれたムーミンの物語を、たくさんの人に知ってもらえたらと思っています。