2019年4月から6月まで東京ステーションギャラリーで開催されている「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」展

kukkameriの新谷と内山は、本展覧会の図録を編集しました。

ルート・ブリュックは、フィンランドを代表するセラミック・アーティスト。

フィンランドでは、ヘルシンキのデザイン博物館やイッタラ&アラビア・デザインセンター、エスプラナーディ公園のすぐそばに位置する市庁舎、さらにはヘルシンキのお隣、エスポー市にあるエスポー近代美術館などで、彼女の作品と出会うことができます。

私たちもフィンランドを訪れるたびに、エスポー近代美術館などで、そして時には思いがけない場所で(友人のお母さんがコレクターだったそうで、友人宅にもブリュックの作品があったのです!)彼女の作品と出会ってきました。

そして、2019年春、ブリュックの作品約200点が日本にやってきました!

フィンランドで彼女の作品を追いかけて、ミュージアムをめぐり、さらにブリュックの日本で初めての作品集となる『はじめまして、ルート・ブリュック』(ブルーシープ)と、展覧会図録の制作で、彼女の作品を繰り返し写真で見てきてもなお、「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」展は、発見と感動の連続でした。最初から終わりまで、そして展覧会から帰宅後も!抑えることのできない高揚感に包まれているのを感じました。

なかでも、今回の展覧会で素晴らしいと感じたのが、東京ステーションギャラリーという1914年に建てられた歴史的建造物とブリュック作品の相性。
この場所のために、ブリュックは作品をつくったのではないかと思ってしまうほど、どの作品もそこに飾られているのが心地よさそうでした。

特に、大型の抽象作品が並ぶ2階の展示室は、空間全体を見渡すと、お客さんも含めたひとつのインスタレーションのようで、町の風景になっているようにも感じました。

そんな東京ステーションギャラリーで作品が見られるのは、6月16日まで。

ぜひこの特別な空間で、ブリュック作品と出会っていただきたいです。

ちなみに、こちらの記事にあげている1枚目の写真は、心に残ったブリュック作品(のパーツ)を、新谷がスケッチしたもの。蝶や鳥のフォルムや色にももちろん見惚れますが、ブリュック作品と初めて出会った時から、背景や体に描かれている模様が、ずっとずっと気になっています。

今回、「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」展で特に印象に残ったのは、「木」や「泥炭地の湖」といった黒系のモザイク壁画。

日頃、ヨーロッパ的なビビッドな色合いに惹かれがちな私が黒の作品に強烈に惹かれたことに、心底驚きました。

東京ステーションギャラリーの後は、9月に兵庫県の伊丹市立美術館へ。

こちらの会場で、ブリュック作品はどのように映るのか。

そちらも楽しみでなりません。

(新谷麻佐子)